「感覚すること」に着目して、肉体知が突き動かす身体感覚を基点に モノやヒトと交感してゆく表現行為を「身体事」と名付け、物語り性を排除した身体表現がによる 「気付き と 出会い の可能性」を追求しています。 2002年頃からは、日常的には気に留められず、いつのまにか 存在しない事になってしまいがちなモノゴトとの出会い をテーマとした(その事柄を示す 『Edge of Nougat』をタイトルとした)無伴奏ソロ作品に取り組む一方で、「身体事」を深めるためのフィールド・ワークも並行して実施してきました。
フィールド・ワークは、風景に溶け込むような「身体事」の定点観察から始まり、色々な何気ない路地や路地裏を探訪して、観客を集めずに現象的に実施する『路地探』(路地裏での身体事の探求)に発展し、さらに研究を深める上で、同じ場所における季節毎の「身体事」の記録である『敷地内探求』(敷地内での身体事の探求)に 辿り着きました。これらの探求は パフォーマンスの形式をとらず、ビデオカメラによる 編集なしの動画として、映像での紹介と共に、身体の可能性についての印象を語り合う 客観視過程を経て、考察を繰り返してきました。
いずれも、身体の内外の情報に対して応答するだけでなく、意識に上る知覚 と 下意識にまで及ぶ身体感覚 に対峙し、分散したり 統合しきれない現象をも受容して、それらの接点ギリギリで 存在を工夫するプロセスのような時間… 即ち、刻々と質的に変化しつづける容態の提示であったと思います。
2020年の秋、改めて…、感じること・感じていられること の大切さを思い、「身体事」のアーカイブとして、無観客の環境で継続していた 定点観察シリーズ と 探求シリーズ の一部を、公開することにしました。観る人のカラダに新たな感覚が発生することを狙いとした 近頃の小さな取り組み や 劇場空間でのパフォーマンスからの抜粋 も併せて、 (これから少しづつアップしていきますので)ご覧いただければ幸いです。 表現の現場でお会いできる日を、楽しみにしております。
喜多尾 浩代
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