シューベルト 交響曲第8番 ロ短調 D759「未完成」/Franz Schubert: Symphonie Nr. 8(7) in h Moll, D759 Die Unvollendete (Unfinished)
3 videos • 7 views • by Cello University ■曲名:シューベルト 交響曲第8番 ロ短調 D759「未完成」 ■指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン ■楽団:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ■録音:1964年9月 ベルリン イエス・キリスト教会 ■曲目: 第1楽章:Allegro moderato 第2楽章:Andante con moto ■Franz Schubert: Symphonie Nr. 8(7) in h Moll, D759 Die Unvollendete (Unfinished) ■Herbert von Karajan ■Berliner Philharmoniker ■1966 REC 【曲解説】 シューベルトの交響曲第8番ロ短調「未完成」D759は、未完ながらも彼の最高傑作の一つとされる作品です。この交響曲は、特にその詩情豊かな旋律と深い感情表現によって、多くの聴衆を魅了しています。シューベルトは、この作品を1822年に着手し、第1楽章と第2楽章を完成させましたが、なぜその後の楽章を書き上げなかったのかは未だに謎に包まれています。 第1楽章は、冒頭から低弦による不気味で静かな主題が提示され、すぐに木管楽器が美しい旋律を奏で始めます。この主題は哀愁を帯びながらも壮大で、楽曲全体にわたって繰り返されます。急速に展開する楽器の絡み合いが緊張感を生み出し、静と動が巧みに対比されるこの楽章は、劇的な要素が強く、リスナーを引き込む力があります。シューベルトの得意とする繊細な感情表現が、ここでも見事に発揮されており、悲劇的でありながらもどこか希望を感じさせる響きが特徴的です。 続く第2楽章は、変ホ長調で、前楽章とは対照的に柔らかく、穏やかな雰囲気が広がります。ここでは弦楽器が美しいアルペジオを奏で、木管楽器が優雅に応答するという、シューベルト特有の優美なやりとりが繰り広げられます。この楽章はまるで夢のような安らぎをもたらし、内省的でありながらも包み込むような温かさがあります。静かで瞑想的なムードの中にも、微妙に変化する感情の波が感じられ、音楽に深みを与えています。 シューベルトはこの2つの楽章を完成させた後、第3楽章以降を書かなかったか、失われたとも言われていますが、これまでの分析や研究によって未完成のままで残されました。2楽章だけでありながら、この交響曲は驚くほど完成された作品に感じられます。それはシューベルトの作曲技法の高さ、特に旋律の美しさや感情の微妙な変化を捉える力によるものでしょう。 「未完成」という題名は、実際に楽曲が未完であることを示していますが、その音楽的内容は非常に充実しており、聴く者に深い印象を残します。シューベルトの「未完成」交響曲は、ロマン派音楽の先駆けとも言える存在であり、彼の豊かな感性と人間の内面に深く迫る表現が、簡潔ながらも強烈に伝わってきます。 この交響曲第8番は、未完成という状況にもかかわらず、完璧な音楽的世界を構築しており、特にその豊かな感情と旋律美は、シューベルトの才能を最大限に示しています。2楽章だけで構成されているにもかかわらず、シューベルトの「未完成」は、その劇的な展開と深い表現力で、クラシック音楽の歴史における不朽の名作とされています。