ブラームス交響曲第4番 ホ短調作品98

5 videos • 8 views • by Cello University ■曲名:ブラームス交響曲第4番 ホ短調作品98 ■指揮:クラウディオ・アバド ■楽団:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ■曲目: 1.Allegro non troppo 2.Andante moderato 3.Allegro giocoso 4.Allegro energico e passionato ■Brahms: Symphony No. 4 in E Minor, Op. 98 ■Claudio Abbado ■Berliner Philharmoniker 【曲解説】 ブラームスの交響曲第4番ホ短調作品98は、彼の最後の交響曲であり、クラシック音楽の中でも特に重厚かつ感動的な作品として知られています。1885年に完成されたこの交響曲は、ブラームスの円熟期を象徴し、深い感情と緻密な構造を持つ音楽が詰まっています。全4楽章で構成され、古典的な形式に忠実でありながらも、内面的な葛藤や豊かな感情が巧みに表現されています。 第1楽章(アレグロ・ノン・トロッポ)は、弦楽器の美しいアルペジオによって開始され、そこから力強い主題が展開されます。ホ短調という調性が、楽章全体に暗い雰囲気と重厚さを与えつつ、同時に希望の兆しも感じさせます。ブラームス特有の緊張感のあるリズムと、豊かなハーモニーの絡み合いが、この楽章をドラマティックかつ複雑にしています。 第2楽章(アンダンテ・モデラート)は、緩やかなテンポで進行し、暗いトーンから一転して穏やかな美しさを感じさせます。ホルンと弦楽器による優雅な主題が展開され、静かな情感が漂います。シンプルな構造の中に深い抒情性があり、ブラームスの繊細な感情表現が見事に反映されています。牧歌的で瞑想的なムードが広がり、聴く者に深い安らぎをもたらします。 第3楽章(アレグロ・ジョコーソ)は、他の楽章とは異なり、陽気でエネルギッシュな性格を持っています。舞曲的なリズムと力強い旋律が、軽快で祝祭的な雰囲気を作り出し、ホ短調の交響曲全体に明るい対比をもたらします。ブラームスの重厚さが一時的に緩和され、軽やかな活力が感じられるこの楽章は、オーケストラの華やかな響きが楽しめる一方で、技巧的にも非常に挑戦的な部分です。 そして最終楽章(アレグロ・エネルジコ・エ・パッショナート)は、バロックのパッサカリア形式を基にした重厚なフィナーレです。主題と変奏の形で構成され、厳格な形式の中にも激しい感情が込められています。ここでは、ブラームスの作曲技法が最高度に発揮されており、音楽が展開するにつれて壮大なクライマックスを築き上げていきます。楽章の最後には、全楽章を総括するかのように、圧倒的な終結が響き渡り、聴く者に強烈な印象を残します。 ブラームスの交響曲第4番は、その緻密な構造と深い感情表現により、クラシック音楽の中でも特に評価が高い作品です。シンフォニックな形式を保ちながら、ロマン派音楽の抒情性とドラマ性を融合させたこの交響曲は、彼の遺産として後世に残り、今なお多くの聴衆に感動を与え続けています。